第34回 インターネットの広告価値 の巻
○ 招待されました!
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の国内最大手、株式会社ミクシィ(旧社名:株式会社イー・
マーキュリー06年2月1日より社名変更)が提供する「mixi」
に最近になってようやく登録することができました。04年3月に開始されたこのサービスは、共通の興味、
目的を持った人の集まりであった従来のコミュニティサイトとは違い、「招待」によってのみ参加を認められるソーシャル・ネットワーキング・
サイト。つまり、あえて恥を忍んで申し上げるなら、こんな仕事をしていながら、つい最近まで誰からも招待されること無く、
ようやく会社のスタッフからお情けで招待してもらうことができ、晴れて「mixi」のアカウントを手に入れたのです。
早速、自分のプロフィールを登録し、心当たりの友人をニックネームやキーワードで探してみるといるいる!
さすがにこの業界に近い連中は数多く登録されていて、見つけた友人を元にその友人、そのまた友人という風にたどっていけば、
けっこうな数の知り合いにたどり着くことができました。ただ、逆に言えば、その連中は今までなぜボクを招待してくれなかったのか・・・。
少々複雑な気持ちもするのですが、まあ、それはさておき、これでようやく、
いわゆるSNSとはどんなサービスなのか自分自身でも体験することができたわけです。
総務省の発表だと、05年9月現在のSNS利用者は399万人。中には招待不要のサービスを提供しているところもありますが、
原則招待制のためか、インターネット利用者に対してのユーザー数は決して多くはないかも知れません。
しかしながら招待制というシステムによって、これまでネットコミュニティのひとつの弊害であった「匿名性」が排除され、
自分のページを訪れた人が追跡できる「足あと」という仕組みで、非常に高いトレーサビリティが提供されているため、
コミュニティ内での悪意のある行動を抑止し、ユーザーが安心して参加でき、直接の友人や知人との友情を深めたり、旧交を温める、また、
友人の友人以上の人たちとの、繋がりの確認と新しい出会いなど、活発なコミュニケーションが展開されています。
○ インターネット広告
ビジネスブログが企業ホームページでも多く採用されるようになり、また、
先に紹介したSNSも社内のコミュニケーションツールとして、またユーザーコミュ二ティの新しい形態として、
EC事業との連携による顧客囲い込みのためのツールとしての利用が検討されるなど、インターネットを使った企業の広告宣伝・
マーケティングにも変化が見え始めているようです。
これまでホームページを通じたプロモーションは、マスを対象にいかにアクセスを稼ぎ、印象的に自社サイトを見せるかという、
テレビのコマーシャルと同様の手法に主眼が置かれていました。YAHOO!
などの絶対的なアクセス数を誇るサイトにバナー広告を出すことができれば、自社商品のインプレッションを高め、
興味のあるユーザーはバナーをクリックし、自社サイトにアクセスしてくれます。また、検索エンジンに対して、
特定のキーワードが入力されたとき、
自社ページを検索結果上位に表示させるためのいわゆるSEOなどによって適切に自社商品やサービスに興味を持つユーザーをサイトに誘導する工夫を施すことで、
自社サイトへのアクセス数を向上させ、より質の高い(自社サービスの購買意欲の高い)ユーザーのアクセスを集めることも可能でした。
もちろん、これがインターネットのプロモーションのすべてを正確に表現しているわけではありませんし、
これらの手法が効果の薄いやり方だというわけではありません。ただ、これまでの手法と決定的に違うのはブログにしろ、SNSにしろ、
ユーザーを巻き込みながら、同じ価値を共有するものの間で、効果的な広告・宣伝が展開されていること。
確かにこれまでも掲示板などを使った企業オンラインコミュニティは、自社のマーケティング部門にユーザーの声を直接届け、
さらにクチコミによる広がりを作り出すという意味において効果を発揮してきました。但し、その効果はあくまでも、
ひとつのサイト内で展開される限定的なものであったのに対し、ブログ利用の場合であれば、さらにトラックバックという機能によって、
ブログ間をどんどんつなぎながら、より大きな広がりを作り出すことができるのです。
ボク達が普通にお店に行って買物をしようとするとき、お店の人の一方的な説明、セールストークより、友人、
知人からの推薦の方が素直に受け入れやすいですよね?それと同じ効果をブログはより広い人間関係において、
そしてSNSはより信頼できる人間関係において実現してくれるということになります。
○ あさひかわの場合
弊社が旭川に開業して5年、この間、ホームページが持つ意味は随分変化し、また、その制作手法、運営方法も大きく変わりました。
企業広告において、インターネットという分野ではそれぞれのWEBサイトを通じて、ユーザーやお客様、取引先とどんな価値観を共有するのか?
マスを対象とした一方的な広告・宣伝の時代から、企業が持つ価値観をお客様と共有し、信頼の関係を築きあげていくこと。
ロイヤリティを高めると同時にネットを介して、
価値の共有を広げていく方法がこれからのインターネットマーケティングの主流となっていくのはと思います。
しかし残念ながら、
わが地元である旭川や北海道ではインターネットを取り入れて積極的に自社サービスを展開する動きは相変わらず鈍いと言わざるを得ないですね。
先月も書きましたが、ようやく地方が、これまで情報の集約と発信を担ってきた「東京」のものさし、価値基準にしばられず、
その地域事情に応じた独自の価値観を発信できるときです。取引先の中古車屋さんの社長との話では、大手中古車情報誌の問合せ割合が、
首都圏ではインターネット8、雑誌2であるのに対し、北海道はその割合が逆転しているのだそう。つまり、
道産子のインターネット利用率が低いから、
サービスや情報の提供側である企業が積極的なインターネット展開を考えないということなのだと思います。
確かに首都圏などにくらべるとその利用率は低いのかもしれませんが、これから、
ボク達の暮らす地域でもインターネットの利用率が上がっていくことだけは間違いのない傾向のはず。となれば、今から、
インターネットを通じてどんな情報を発信し、どんな価値観をお客さま、取引先、あるいは株主と共有すべきか、しっかり考えて、
自社WEBサイトの位置づけを考えておく必要があるでしょう。ある意味、
インターネット上でボク達の価値観に沿った有益な情報を提供する良質なコンテンツが増えれば、
ユーザーのインターネットへのアクセス頻度も上がると言うことなのではないでしょうか?