'意思発信がユビキタスになる時代へ
2005年を迎えて今年は、これからの時代の予想というより、こう時代が動いたら良いなという希望を書き連ねたい。
私個人として今後の時代の流れを左右するのが
・双方向メディアとしてのインターネットの復権
というキーワードである。
「インターネットは双方向があたりまえではないか」という声もあることだろう。確かに、Webにせよメールにせよ、こちらから何らかの発信をしなければいけないという意味では双方向メディアではある。そういう意味では、オンラインショッピングであれ、掲示板であれ、アンケートシステムであれ、双方向ではある。
しかし、元来インターネットというメディアに期待されていたのは、こういう、
特定の発信もとに対して、そこからリクエストされている範囲で、自分の意思を伝える
という「限定された意思表明による双方向性」ではなく、個々人が自由に自分の意志や考えを表明でき、その考えをもとに不特定多数と相互に交流できるという、「限定されない意思表明、情報発信」ということが求められていたはずである。
確かに、あらゆる人がそういう表明すべき自由意志を持っているのかどうかなど、哲学的な問題も少なくないが、インターネットというメディアには、元来期待されていた「限定されない意思表明、情報発信」を可能とする、本来の双方向メディアとしての機能の復権を期待したい。
その期待にこたえてくれる二つのトレンドが、着実に生まれつつあるのも確かだ。
こうしたメディアの機能の獲得において過去のWebスペースが挫折した原因の一つは、HTMLの困難さとその作業の面倒くささが挙げられる。まずはそれをクリアする技術的なトレンドとして、Blog(WebLog)が上げられよう。掲示板の延長線という声もあるが、着実にHTMLによる更新を嫌うが、自分の考えを定常的に表現したいという一般の人に広まってきているといえる。
もう一つの問題が、古くて新しい問題とも言えるが、自分の周りで起こっていることを、自分で理解し租借し、編集し伝えるという工程を踏むことの教育や困難さが上げられる。これが欠けているために、情報発信をしていても、ユーザーサイドに受け入れられないという流れになり、フリーWebサービスなどがすたれる遠因となってことも否めない。
これをクリアするトレンドとして、パブリックアクセスの流れが上げられるだろう。市民が、自分お手で身近な出来事を情報にし発信するという活動である。日本では、熊本のプリズムなどの活動がきっかけになってCATV各社などで、そうした活動を支援する動きが現れてきている。
現状は、動画のための手法が中心であるが、情報を収集し分析し編集するという意味ではこうしたパブリックアクセスの動きは、適切な情報発進をするスキルを多くの人につけることができるといえる。
今年はこの二つのトレンドが広がり、交わるところに「双方向メディアとしてのインターネットの復権」が生まれてくると期待している。いままでは、情報受信はユビキタスだったが、これからは、こうしたトレンドに乗って、情報発信がどんどんユビキタス化されていく方向に進んでいくことが期待される。