リンク戦略に見るメディア観

先にも書いたのだが、どちらのビジネスモデルが正しいとは 一概に言えないのだが、現実に米国インターネットビジネスの状況と 日本のそれは、明らかに違っている。

一番大きな違いを感じたのは、そのサイトとのリンクに関する戦略の あり方である。
日本の企業サイトが行う一番の引き込みの戦略と言えるリンクは バナー広告である。それはある意味で海外も全く同じではある。
が、そのバナーの広告効果の測定の考え方に大きな違いがある。
日本では、TV広告の世界の視聴率の延長線とも言える
露出数
という数字をその評価基準や保証基準とするのが主流である。

ところがアメリカでは、主にクリックスルーの数。いわゆる
クリック数
という、実際にサイトに来訪した数を評価基準とするのが大勢である。
最近、日本でもかなり増えてきている。実際、このサイトのバナーは2社の REPのものを使用しているが、すべて、クリック数を保証したバナーである。

ここで見て取れるのは、日本のインターネットサイトのあり方は、 既存のマスメディアの延長であり、ユーザーに対する認知のための ツールとなっている。
一方アメリカのサイトはユーザーの実来訪を基準として考える いわゆる、販売のチャネルとして捕らえる向きが強い。
どちらが良いモデルとは言い難い。なぜなら、 日本での対コンシューマ(BtoCと言われる)のECの実績は低く、 販売チャネルとして捕らえるには時期尚早という現実がある。

さらに、米国ではさらに進んだ販売チャネルとして捕らえるやり方を見て取れる。 その米国型のプログラムがアフィリエイトといわれるものである。
これは販売を行っているサイトが、一般のサイトを含め、リンク設置時に その販売サイトにリンク設置サイトを登録し、リンク設置元から、 入ってきたユーザーの販売量(数量、もしくは売上高)に応じて リンク元に報酬を支払うシステムである。
多くの場合、そのサイトの個々の製品にリンクを張る事が可能であり、 トップページのみにしか張れないというような、日本的なせせこましさはない。
そのリンク構成によっては、簡単に、自分のお気に入りの製品をそろえた、 自分のサイトに新たなショッピングモールを作る事が可能なほどである。 実際ここのサイトでもAmazon.Comに登録し、本の購入を可能にしている。

すでに、ここまで来ると、販売代理店としてリンク先を捕らえている。
まさにチャネルとしてのリンクである。

また、これは決して特殊な事例ではない。米国のほぼすべての企業サイトは 自社の製品やサービスをネット上から提供しており、 こうしたアフィリエイトプログラムはほぼすべてのサイトで行われているのである。

将来のECを考えたとき、こうしたインターネット観の違いがどのような差になるかは、非常に興味深いところである。----- EXTENDED BODY: