1999年総括
日本でも、ようやくインターネットがビジネスベースに 乗る予感を感じさせた1999年。その動向を大雑把に見てみよう。 2000年予想などという、大それたことは無理だが、 現状を総括して、来年の皆さんの参考にしてもらえればと思う。
実験的マルチメディア型モールの終焉
これは、非常に素晴らしい現象だと思う。
1998年までは、多くの企業で
インターネット=マルチメディア
ということで、使いもしないプラグインやらVRMLを
ガリガリ使ったモールを大企業がどんどん作って、一斉にコケた
という印象があった。
1999年は、インターネットという制約を、よく勉強して
改めて軽くて品揃えや検索性、テキストによる情報提供などを
重視したショッピングサイトを大企業が作り始めてきた。
辛口評論家な人々から言わせると、まだまだ稚拙なサイトなのだろうが
インターネット≠マルチメディア
を認識しはじめたことは大きな前進に思える。
とはいっても、田舎のほうでは、ようやくインターネットでビジネスをはじめようという世界で、現状でマルチメディアなサイトがほとんど無くなっているので、
「マルチメディアなサイトを作れば売れる!他の奴がやらないなんてバカばかりだな」
などと一人、悦に浸ってWebビジネスに参入しようという輩が、
沢山いるので、田舎で仕事をしている私としては、説明と説得に
非常に困ってしまう。
アメリカ型ビジネスモデルの輸入
インターネット株式取引、CtoC、Web-DB、など、
すでにアメリカではビックビジネスになり始めている、
もしくはなっているビジネスモデルが、ワッと入って来た年でもある。
一般の人の目に触れる触れないは別にして、これで
一気にネットビジネスが加速したのは確かで、大小企業入り乱れて
混戦乱戦模様である。
ただし、日本独自の規制や文化、商慣習などの兼ね合いで
思うように機能しないものも多く、ビジネスモデルの修正や
規制の緩和など、利潤を上げるためには、まだまだ課題が多いのも事実だ。
日本型インターネット文化の確立 確立は、やや言い過ぎかもしれないが、アメリカとは違うインターネットの活用、普及のスタイルが出現してきた。代表的なのは、決済システムとモバイルだろう。
決済
色々専門家や技術屋がグダグダ言ったりやったりしてきたが、
ネットで買って、オフラインで決済というスタイルが、ほぼ完全に浸透しつつある。
それを見越して、流通業(クロネコや佐川)は代引き決済の代行ということで、
そちらに注力した宅配+ネットショッピングのモデルでの熾烈な争いがスタートし、
代引き受け取りが困難な人のために、コンビニでの決済やクリーニング店での代引き受け取りなど、日本型オフライン決済がネット決済の主流であることがはっきりしてきた。
専用端末
i-modeをはじめとする携帯電話でのインターネットユーザーが急増。
従来型の各種コンテンツが携帯電話で楽しめるようになってきたばかりか、
i-modeの持ち運びの利便性を睨んだビジネスも次々生まれてきた。
クーポン券ビジネスなどはその典型で、プリントアウトしなくても
お店で、直にi-mode画面上にクーポン券を表示することによって、
即サービスを受けられることを可能にする。
さらには、インターネット専用端末とカード、DBのシステムを連動させ
さんざまなサービス提供の実験も行われている。
それ以外にも、
PC=インターネットの唯一の端末
という発想から離れたユニークな商品も続々登場し
インフラとしてのインターネットの広がりを期待させる。
非電話型低価格インターネット回線の普及
この年の瀬になって、ADSLサービスが続々立ちあがってきた。
NTT、東京めたりっく通信、コアラ等々、このADSLは、常時接続可能で5000円程度という、いわば擬似専用線みたいな物である。
今までは、こうしたサービスはCATVや、非常に高価な専用線でしか
行えなかった。そのため、比較的限定された人々しか、常時接続の
恩恵を預かれずに、インターネットを、ガスや水道、電話、電気のような
生活インフラとして気軽に扱うことが出来なかった。
ADSLやCATVのインターネットサービスの広がりが加速してきている。
今後は、生活インフラとしてインターネットを使える人々が増えてくることは確実で、
インターネットのビジネスもまた加速することと思われる。
1999年は、まだまだ胎動の年でしかなかったが、この胎動が来年以降は より大きくなることを期待したい。