山賊の山分け

他の日記でちょっと企業理念に関するやり取りをしたんで、今日は日記というよりはその話。

IT関連の企業をコンサルしていて思うのは、企業理念があるようでない人が結構いる。そういう方が共通して言うのは、うちの企業理念は「コミットに応じた適切な利益分配」という。分配の算定基準やらコミットに関する考え方こそ、人それぞれなんだけど、企業理念が分配方法ってのはどうかなぁと。
もっと言えば、公明正大な報酬の支払方法ってのはどんな企業でも本来あたりまえのことで、改めて企業理念としてうたうことですらないと思う。別の理由で明文化は必要だけど、それは企業理念じゃない。単に人事考課のルールだ。
しかも売り上げがなければそんなのは、ただの絵に描いた餅。分配以前のことが大事ってことになる。端的に言えば、自分の会社がどういうことをして、社会やお客にどういうメリットを与えるかってことだ。
それが社会やお客に受け入れられれば基本的に法人として存続する価値のある企業体になるし、受け入れられなければ(受け入れられなくなれば)そもそも不要な企業体ってことになる。そこで、一つ売り上げが立つかどうかが決まってくる。

ITって商品の性質上、意外とそういう旗印を自社独自で作るのって結構難しかったりする。また、そういう起業をする方が若い人が多く、そういうことを深く考えないで起業されていることも少なくない(私も人のことは言えませんが....。)。また、企業からのスピンアウトの場合、そういう公平さが欠けていると感じて起業される方もいてそれ自身が理念化しちゃいやすい。

こういうのを見ていると、「取らぬたぬきの皮算用」のお話を思い出す。山賊がたぬきを取る前に分け前の話をするって奴。いわば山賊の山分けの方法が理念になってしまっている。たぬきをどう取るとか、そもそも捕る獲物はたぬきなのかとか、みんなすっぽ抜けているこの山賊と一緒。

起業した時にちゃんと持っていなくても、後から着いてくる人もあるんで、企業時から必須かといえばそうではないと思うんだけど。
でも、自分がコンサルしていて、IT企業の場合、この「山賊の山分け」脱却できた社長さんの会社はぐいぐいと伸びていく。脱却できない企業は、どんないいコーディネイトしてあげても無駄。

とはいえ、私のコンサルティングのスタイルの方が問題があって、山賊の山分けの人でも大成する方法があるのかもしれませんが....。