想いを受け継ぐ

先日、待ち合わせに1時間ほど待った挙句に結局来なかった子がいた。
正直、そのときは「自分でお願いして連絡も無く来ないなんて、なんじゃこいつ」とか思った。でも、まぁ、待ち合わせ場所が自分にとって遠路でもないし、ほとんど気にしないで忘れていた。
で、その相手のmixiメッセージが今日突然来たので、なんじゃなんじゃとか思って開いてみた。そしたら、ご家族の方からで、その方が既にご他界されていた旨の連絡だった。
葬儀やらなんやらがひと段落してから片付けている最中にmixiというモノを知って、自分の子がmixiで色々と連絡を取り合っていたとのことに気がついて、アポをすっぽかしてしまっていることについての連絡をくれたのだ。

ご家族の心中を推し量ると、如何ともしがたく、ご冥福をお祈りするしかない。生前の自分の子どものことをもっと把握したかったという親御さんの無念の想いもお察しするしかない。
なので、ここでBLOGのネタにするというのも実はものすごく礼を失する行為かもしれないが、僕の中で彼女のことを何らかの言葉にして残してあげたいと思うわけだ。

彼女は、「科学と社会の繋ぎ役になりたい」との想いを持っているとのことで、友人の紹介で飲み会の席でお引き合わせいただいた。
僕自身がどの程度繋ぎ役になっているかはともかくとして、多くの友人知人がそういう活動や職業に身を投じて頑張っているので、そういうことはご紹介できるかなぁという程度の気分でそれとなく連絡を取り合ってきた。

ご自身、ライターとしても活躍され幾つかの記事を書いた実績もお持ちだった。ただ、未だ大学生だということや、科学技術をテーマにするという点ではまだまだの所もあり、科学と社会のつながりを研究したり実践したり出来る大学院の進学も希望されていたようで、色々と調べていたようだ。一応、科学技術コミュニケーション関連講座というものについても、僕自身それ相応に情報を持っていたので、色々情報は提供してきたつもりではある。
たまたま、ご本人が私が非正規で勤めている大学のそういう講座に興味を持ったらしく、一度相談にのってくださいとのことだったので、一度愛知で打ち合わせしようということでアポを取っていた矢先の出来事だった。

自大学の科学技術コミュニケーションの活動に関しては、厳しいことを言って歩いてきたけど、それは期待の裏返しなので、彼女にはぜひとも本学のその大学院に行って、活躍してもらいたかったなぁと思う。お会い出来ていたら、そうやって悪いと思うところ所は悪いと思うところ所でお話した上で、「うちの院はいいぞ」ってお勧めしたと思う。

私自身、人の親なので、親御さんの気持ちを思うと何とも切ない。と、同時に未だ志半ばで生きている人間なので、彼女のように志半ばで他界されるという彼女自身の気持ちも思うと何とも切ない。

偶然出会っただけの縁だけれども、こうした想いは少しでも忖度して、次の世代に良いものを残す義務はきっとあるんだろうな。特に、彼女に近い思いのある人たちはそういう活動をより真剣にやっていくべきだろうし、人の親であればこういう悲しい親を作らない安心安全な社会を目指していかなきゃいけない。
想いを受け継ぐってのはそういうことなんだろうな、と思う。