宙のまにまに

同じ町にいて 同じ思い出があって... 同じ時間を生きる――/ごく普通のことだけど......... そういうのが時々... すごくうらやましくて/昨日まで一緒に笑っていた人が人が......ほかの時間の中でも生きてきたことをまのあたりにすると/ああ、やっぱり――...って 引いちゃう自分がいて...... 自分がいなかった時間のことばかり考えてしまって....../一緒にいるのが自分じゃなくてもいいんじゃないかって...(3P.19、朔)

読書録に初のマンガ登場です。ちなみに、マンガを読まないということは全くなく、ただ、マンガだとすぐ読み終わっちゃうんで、金が続かないだけだったりします。

で、まぁ、いきなり学園ラブコメモノです。かなり、僕のイメージに合わないチョイスかもしれません。主人公が転校を繰り返していて、舞台が文系部活動に生徒会という、なんとも、条件だけそろえれば、個人的にはのめりこみやすい内容だったりします。高校時代はこんな感じでしたし。とはいえ、同じような条件のマンガは昔から少なくなくて、結構読んでいたんですけど、この「宙まに」が特に気に入ったのは、主人公の朔君の視点が非常に、転校を繰り返したことのある僕が読んでも不自然じゃないこと。多くの、転校生を主人公にしているマンガが、転校生視点とは言いつつ実はなぞの転校生というものが多いんですね。

その点、冒頭引用の朔君の悩みは、実は、転校を繰り返していて、でも住んだ学校で仲良しな友達が出来たら常にふっと悩んじゃうことです。どたばたなんだけど、こういう心理描写というか心の書き込みが自然で、若い頃の自分の悩みがよみがえってきます。なんかその感覚が又新鮮だったりします。
とはいえ、こんだけオヤジになると、「ああ、青春の悩みだねぇ」という感じもします。だって、もうそんなことでは悩まんよ。移り住んでくるほうも固定しているほうでも、人ってのは流れ行くものなんだしね。という当たり前のことが分かるので、その辺うらやましがるようなこともなく。
それぞれの立場でこんなピュアな頃があったなぁと、回顧できるのが人気に秘密なんでしょう。