きまぐれロボット

中学生のころから夢中になって読んでた、星作品集のひとつ。
ちなみに文章から、ものの見方から星作品に負うところ甚大である。

そんな中からなぜか一番手元にあったのが「気まぐれロボット」。
実は、この作品集は作品集としてあんまり印象がなかった。けど、読み直してみると、自分の好きな作品がたくさんある。

読み返してみて全体の印象として、「星新一はSF作家なんだな」ということだ。
サイエンスの味付けがぴりりと聞いたサイエンスフィクションなのだ。壮大なSFスペクタクルではないけど、間違えなくサイエンスのフィクション。
特にすきなのが「おみやげ」。このプロットを真似た作品を思わず書いてしまったこともある。

あとは、子供を見る目線のやさしさ。多くの解説で、星作品は子供の残酷さもストレートに描き落ちにする、という評を見聞きする。が、そんなことはない。本作に収録された「ユキコちゃんのしかえし」や「あーん。あーん。」なんかを読んでみれば、確かにアイロニーは効いているものの、子供そのものへの優しい大人というあるべき親子像、大人子供関係をしっかり描いている。これが「ブランコのむこうに」へとつながる目線なのだ。

へりくつは何とでもこねられる。とにかく現代に残る名作集のひとつ。子供が大きくなってくれたら、是非読んでもらいたい。