城塞
「中途半端が結局は家をほろぼす道だ」(上P.342)
この本は、なぜか下巻がなくてずっと読んでいなかった作品です。大阪冬の陣と夏の陣を取り上げた作品。なんだか、主役が誰だかわからずとらえどころのない作品です。というか、歴史解説書かいなという感じ。小説としては解説が多すぎです。
小説としては、星新一の城のなかの人の方が面白いと思います。ただ、変な話、この城塞をよく読んでその時代の事を知識として身につけると尚楽しめます。
それにしても、関が原にしても冬の陣にしても、普通に戦えば家康の負けちゃうんかいというところからの家康のねちっこい諜略の書き方は司馬遼太郎の筆力です。その辺、本当に良く調べよく考察した上で書いているなぁと感心します。なので、その分、家康に屈服しなかった真田家がかっこよく見たりするんですよね。多分、現代の真田人気の大半は、この司馬小説のおかげなんだろうな。
餌でもって男子の志を吊ろうとなさるおろかしさ、申しておきまするが、この左衛門佐は、たとえ日本の半分を割きあたえられようとも、この御城を退きませぬぞ(中P.305)
「人間というのは過去から現在までの世間における履歴で事をなせるのだ」(中P.28)
ま、この小説の教訓。
木偶をおどらせるというのが、人の世でもっとも罪だ(下P.426)
反省。反省の理由は皆様のご推察ってことで。