沙中の回廊
春秋時代の晋国最強の宰相といわれた士会の話。本当にこのような言を吐いたのか分からないけれども、この生き様が士会の生き様だったといえる。なんというか、今なんとなくこういう士会のような生き方をしていかないといけないのかなと思うことが多いので、初読時よりも印象に残った。
ちなみに人の才徳は、かならず天にとどく(上p120)というのは、まさにこの士会のことで、人生二転三転しても、宰相にまで上り詰めていく。また、その才徳にふさわしく、彼が宰相についた時点で盗賊が国から逃げ出し良民が流入してくるという始末だったと伝わるほど。
たしかに、この著者は司馬遼太郎なみに鬱陶しい解説も多々ある(史記や春秋を読了していればそこそこ楽しいかもしれない)けれど、まぁ、適宜読み飛ばして、士会という人物の生き様を楽しんでいただければと思う。