マクベス

シェークスピアの四大悲劇の一つ。
でもねぇ、これ、あんまり好きじゃないんだよねぇ。改めて読み返してみても一緒。
なぜかというと、この主人公のマクベスって、ただ王位という欲に目がくらんで、一度は改心するものの、結局、奥さんにけしかけられて、道を踏み外してしまうという話。

預言者のちからが強い時代だからって、一度奥さんに予言の内容を伝えておくさんが旦那以上に舞い上がって、殺させるってさすがに無理が無いか。旦那がやっぱり暗殺はよそうよって言ったら
「やってのけるぞ」の口の下から「やっぱりだめだ」の腰砕け、そうして一生をだらだらとお過ごしになるおつもり?(同書p31)
って、そこまで、王位って者に対する欲が生まれるかぁ?

やっぱり王位そのものじゃなくて、王位を取って後にどういう社会にしたいかとか、そういうのはない。その辺、シーザーの暴走を憂いて、シーザーに手をかけたブルータスとは違う。ブルータスには感情移入できるけど、マクベスにはちと感情移入も出来ない。
とはいえ、転落のプロセスの心理描写の記述は見事。誤りを償うために又誤りを上塗りしていく、心の動きがよく分かる。

ちなみに、解題をよく読むと、若干僕の不審の念は取れた。なるほど、マクベス自体を理解するには、時代背景を理解しないと駄目らしい。なんのかんの言って時代に依存する大衆芸術というわけだ。

とはいえ、いつの時代でも一読する価値のある名作であることに変わりは無い。