天下城

「〇〇城を作ったのは誰?」
「〇〇(武将の名前)」
「ざんねんでしたー。大工さんたちですー」
という、会話を子供の頃したことはないだろうか。僕はその口でした。

大体、武将の方はいわゆる城作りのプロデューサーなので、ある意味で正解。で、大工は、城作りの日作業部隊なので、これも正解。でも、これは重要な事が抜け落ちていて、実際に、プロデューサーが現場の瑣末な作業までする事はまずない。で、どんな人種がいるかといえば、そういう人たちを取りまとめ、プロデューサーの構想の下に、具体的に人を束ね形にするための指示とうを出す人。いわゆるディレクターだ。
この本は、いわゆる城作りのディレクターのお話だ。

とはいえ、人の人生の変遷は一筋縄では行かない。主人公は、軍師(いわゆるコンサルタント)を志望し、人生を歩むも、師事していた老軍師が死んだ後、迷走に迷走を重ねて、石積みという業界から、城普請における土台のテクニカルディレクターとして、成長し、押しも押されぬ業界市の人間となる。
この作家は、武揚伝など、メジャーな時期のちょっとマイナー人物を取り上げさせると、なかなか面白い物を書く。でも、どっちもディレクター万歳の話なんだよなぁという気もする。

一読の価値は充分にあるので、多くの方に一度紐解いてもらってもいい本かと。