プロジェクトX 挑戦者たち〈2〉復活への舞台裏

「ぜひ大島に向かわせてください。同じ火山の島です。お互いさまです」(P.169)

相変わらず、本にするとやっぱりTVと逆の印象を持ってしまうなぁ。その中で、一つ古きよき20世紀の日本をあらわしているなと思えたのが、この判断。個人間もお互い様なら、自治体間もお互い様なのだ。他の自治体から吸血鬼のように富を吸い上げる地域とか、中央への集り地域にばかり住んでいると、なんともこの部分はいいなと思える。
が、やっぱり全体として、現在のダメな日本につながる話ばかり。ゼネコン万歳、大手企業万歳、そこで適当に好きなことやって掠め取った上に名まで上げちゃおうストーリーにしか見えない。おまけに、民衆も碌でもなっていく様がわかる。

「もしこの移植を拒むなら、明日から研究などやめてしまおう」(P.256)

こんな究極の状況にまで、研究者を追い詰める無責任な大衆の方はどうなのよとか思う。TVで流れていくストーリーとしてみて泣ける話であって、結局は現在のダメ社会の原因でもあるものがプロジェクトXなのだなと。こんなのに本まで買って涙して喜ぶのは、やっぱり団塊オヤジだけじゃねぇかとか思う。