くろふね

「落ち着け。気負い立つことなく、端然とおのれの務めを果たせばよい」(P.411、三郎助)

だんだんそういう感じの歳になってきました。天命を淡々とこなす。まぁ、まだカッカするときはありますけどね。
この本を紹介しようと思ったのは単純に一昨日の東京の出張で、PRのプロフェッショナルの庄司氏と榎本ネタで盛り上がったから。でも、その辺の海軍ネタを語るなら、木村摂津守と、この人、中島三郎助ははずせないでしょう。と言う事で、再度の読了。
勝海舟やら榎本武揚は派手にやらかしたので色々知られていますが、この人はどの人の小説にも出てくるの常に端役。武揚伝の作者らしく丁寧な取材でしっかりと仕上げてきています。読み応えありの一冊です。
また、このように平時ではない、今の日本に必要なのはなんなのかとっても考えさせられます。

「これからの世、中島さまのような役人が必要となります。お達しを杓子定規に振りかざすのではなく、大局を知って、機に臨んでその都度もっともかなった道を選びうる役人が」(P.57、江川が中島に)

世の中、必ずしも学んだり、新しい技を習得することが喜び、という男ばかりではないのだ。(P.324)

とにかくカッコいい役人としての中島三郎助。作者の思い入れの深さは、この一言に集約されています。

少し大げさにいうならば、日本の近代は、この男、中島三郎助の屍を越えるところから始まったのである。(P.462)


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