白洲次郎 占領を背負った男

"日本の再建は東北から、東北の開発は電力から"(下P.102)

こんなご時世ですがこんな引用から。現在の電力政策の下地を作って東北電力の会長も勤めた人です。水利権で東京電力とガチで喧嘩して、東北電力のものだと認めさせた豪腕。原発なんかもこういう地元主義の人がもっと激しく喧嘩をしたら少しは違ったかもしれません。
白洲次郎って人はなんだかよく分からぬ経歴の人ではありますが、とにかく戦中戦後最強のフリーランス官僚ってのが一番正しいのではないでしょうか。特に

<斯ノ如クシテ、コノ敗戦最露出ノ憲法案ハ生ル。「今に見ていろ」ト云フ気持抑ヘ切レス。>(上P.228)

と書き残した憲法改正やGHQとの不思議な丁々発止を乗り切って

「赤旗には要求通りの紙を配給してもかまわんが、他の商業紙には従来以上にやってはいかん」(下P.26、GHQ)

こんな意味不明なことに対抗したり

「あとのことは国民が国会を通じて決める。じいさいの使命は終わった。使命が終わればやめるがよろしい。あとの心配なんか余計なことだ」(下P.159)

と、引き際を誤った吉田茂を支えてきたりと、官僚の業務を的確に果してきているといえます。特に、著者も以下のように書いているように

白洲次郎という人物の最大の功績は、まさにこの通商産業省を創設したことに尽きると言っていいだろう。(下P.78)

戦後日本の経済成長を形作った人でもあります。個人的には尊敬をしますが、贔屓の引き倒しはしたくないので、通産省はもう役割を終えたので解体すべきと主張してますけど。

人柄はこんな感じなのかな。一々気合入れて怒鳴るのね。親切であっても。

「馬鹿野郎!心配する者の身にもなってみろ!」(上P.108)
「馬鹿野郎!こういう気を遣うものを買ってやるから値打ちがあるんじゃないか」(下P.154)

こんなオッサンが今の時代にいると気分いいんだろうなと思う人が多いのは分かるけど、あんまりジジイに都合のいい英雄待望論は、ご本人も望まないでしょうから読み物として読むだけにしましょう。

<相変わらず白洲君に話しこまれる。どうして此人は、日本の負ける事を前提としてのみ話をするのであろう>(昭和一九年九月二六日)(上P.91、帝国水産社長有馬氏の日記)

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