周公旦

(まあいい。わしが望んでいたことは結局は安定した天下なのだ。わしの代わりに叔旦がやってくれるというなら、それはそれでいい。やってみよ、叔旦。二度とわしに謀反気を起こさせるようなことはするなよ)(P.140太公望呂尚)

墨攻に続く中国の歴史物テーマに据えた、だけれども独特の空気感を持たせた酒見作品。やっぱりこの人はダラダラ巻数を重ねる長大なものよりも、スパッと一つのテーマや人物に焦点を当てて、行間に色々な含蓄の持たせた作品構成が魅力的です。
今回は、孔子があこがれた政治上の賢人、周公旦。久々に気持ち良く歴史「小説」が読めました。またこういう作品を再び出してもらいたいものです。

(やれるものなら一度やってみるがいい。すぐにその場が天国ではないことが分かる)(P.160、成王の佞臣に対し)

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