自分の仕事をつくる

目の前の机も、その上のコップも、耳にとどく音楽も、ペンも紙も、すべて誰かがつくったものだ。街路樹のような自然物でさえ、人の仕事の結果としてそこに生えている。(P.9)

このまえがきの書き出しで始まる本書。まえがきだけでも、稀代の名文。本当の意味で働くことを目指す、働き方を取り戻す戦いをする人にとっては「出師表」とも言える名文だろう。

僕自身も「自分じゃなきゃ出来ない仕事がしたい」と小さなときから思い続けて、苦しいながらフリーのコンサルタントとして何とかかんとか、日々やってきている。確かにそのなかに、誰でも出来るような仕事もある。そういう中で、今まさに自分の仕事を作っている過程だとも思う。
そんなさなかにこの本を、故郷のIT企業アイリンクの北口社長にご紹介いただき、まえがきを読んで本当に勇気がわいた。ぜひ、この本のまえがきだけでも全部読んでほしい。読んで、感ずるところがあるのであれば、きっとあなたは、自分の仕事を求め欲しているんだと思う。で、あればそこから自分の置かれている立場の中で、自分の仕事を目指して頑張ってほしい。

N才からのハローワークの類より、ぜひこれを子供に読ませようとひそかに誓っていたりします。

デザイナーも企業人も、根本的には何よりも前に一人の生活者だ。(P.197)
「いまの社会は全員が余所のもので余所のことをやっていて、その結果誰も幸せになっていない感じがするんだな」(P.210)
「いい仕事をしろ」という前にすべきことがあるし、それを言ったところではじまらない。(P.257)
ワーカーが能力を売っているというより、会社が「仕事を売って」いるのである。(P.268)
いつでも、どこでも、誰とでも働くことの自由を、自分自身の力で獲得すること。(P.270)