経営の未来

イノベーションには時間が必要だ。夢を描く時間、熟考する時間、学習する時間、新しいものを生み出す時間、そして実験する時間である。(P.67)

どうしても、目先の収益を優先すると、こういう時間の確保は難しくなるものです。往々にして中小企業の場合、こういうことをするのは社長とか一部の人の仕事になりがちです。
本書は、こういうイノベーションを繰り返して成長する企業を作る手法を、上手に解説しています。ただ、読んで思ったのは、人間機械論と同じ組織論を提示していて、古くて新しい問題を、技術革新で可能にしたような事例に思います。ノイマン式コンピューターが理論的に可能だといっていたことが、今日のテクノロジーの発達で具体化することで、「ああ、こういうことなんだな」と分かるような話です。
んじゃぁ、どうすればいいのというと、その第一歩が、社員一人ひとりが人間として重んじられること。そしてその社員が、その会社を通じて実現すべき社会的使命を持って燃えることに他ならないわけです。なんとも、初歩的で、これまた古くて新しい話。
ま、それを形にするってのは、現代では昔以上に難しいんでしょうけど。
でも、のらSOHOとしては、そんなもんぐらい、経営者側に頼らないで個々人が自分で見つけてやればいいのにね、とか思いますけど。

人間のあり方を規定するのは、その人が身を捧げる大義と克服しようとする課題である。(P.44)
道徳的使命感はスピーチライターがつくり上げたり、コンサルタントが紡ぎ出したりすることはできない。(P.79)