銀河英雄伝説外伝
「一男爵ごときを相手に小さな筋を押しとおされるより、筋のとおる社会をつくるため、ここはこらえてください」(1P.71、キルヒアイス)
まぁ、そういうもんですわね。どうしても僕は小さな筋を通すほうを選びがちですけど。
銀河英雄伝説の外伝です。10年ほど前に、文庫版の本編を買ったときには、まだ外伝は文庫になっていなかったので、放置してあったのですが、最近本屋に行ったらまとめて売っていたので、思わず買ってしまいました。
本編にはまっていたらな、外伝は十分にはまれる内容だとは思います。外伝は正伝よりすくないもの、といういいわけで、この巻数で終わっていますが、よく考えたら、史記でも何でも、正史より外資とか列伝のほうが巻数は多いものです。いっそ、ネタが尽きたらファンサービスでこの外伝ばかりちまちま増やして生計を立てるというのも、作家として正しい生き方かもしれませんね。
いまさら、そんなことをする気はないでしょうけど。
「作戦というのは実行するより早くは失敗しないものだ」(1P.24、ビュコック)
「先覚者はかならず狂人よばわりされるものだ。だが、狂人のすべてが先覚者ではないからな」(1P.35、ビュコック)
「英雄など、酒場に行けばいくらでもいる。その反対に、歯医者に治療台にはひとりもない。まぁ、そのていどのものだろう、というのさ」(1P.43、ビュコック)
「人生はたがいに宣告しあうことで成立しているんだな」(2P.15、ヤン)
先祖を自慢するのは、子孫がだらしないことを証明するだけのことではないか。(2P.100、ユリアン)
「特権をあたえられるということは、自分の器量をつねに試されることだ」(4P.20、シトレ)
「トラブル・メーカーを最上位に据えておくほうが、中間においておくより、えてしてしまつがいいものさ」(5P.16、パトリシオ)
歴史小説を、それこそビジネスの教科書としてしか受け取れないような人に読んでいただく必要はまったくない(5P.338、著者)