香と茶の湯

お香を心の治療に利用するとかそんなさもしいことをは考えないで、皆さんが自分の体調を知るために、お香を鑑賞されてもよいと思います。(P.113)

そういわれましても、仕事の上では、香料と健康を主として考えるのが仕事ではあるので。でも、香を聞いて確かに体調を知るって言うのは悪くないかもしれません。漢方の薬の味が体調で変わるといいますし。
茶道と香の関係を織り交ぜながらお香の紹介をした本。比較的読みやすい一冊です。

香りの芸術である香道は、茶道や華道と同じく室町時代に発生した伝統芸能です。(P.6)

起居動作、我々の生活、ものの考え方、教育、そういったこと全般に及んでまで一つの総合的な文化が初めて成立した(P.70、室町時代)

ということを前提において、香道の成立やその内容を解説しています。

「日常茶飯事」という言葉があるように、お茶の世界はきわめて身近ですが、お香の世界というのはある意味で非日常性が極めて強いのではないか(P.68)

という差はあるにせよ、やはり道。

香事は礼儀を以て第一とするなれば席上尾籠の振舞有る間敷候(P.127、香席初心十五ヶ條法度の事)
次席へ遣し聞候事或は折居取戻し札打ち替、記紙書き直し等未練至極之事。(P.128、香席初心十五ヶ條法度の事)

ご法度は結構厳しいです。まぁ、人として常識のような部分はありますけど。
で、まぁ、室町のトリビア

いわゆる「座敷」というのは、畳という「座具を敷き詰めた部屋」のことであります。(P.74)

まぁ、とにもかくにも日本の香の歴史の一歩ぐらいは知っておきましょうということで、最後にメモ。


推古天皇三年の夏四月に沈水淡路嶋に漂着れり其の大きさ一圍 嶋人沈水といふことを知らずして 薪に交てて竈に焼く 其の烟気遠く薫る 則ち異なりとして獻る(P.30、日本書紀より)