城のなかの人

「おれがなにもかも、だまって処理してきたので、みな事態を甘く見るようになったのだろう」(P.269、はんぱもの維新)

そういう気持ちになり続けた結果、基本的に自分で物事を処理しないことに決めています。かといえど、処理しないとしないで、船ごと沈んだりするんですけどね。些事加減が分からん。困ったものだ。
さて、星新一の短編歴史小説集。実に面白い。ちょっと独特の視点で、スパッと切っている。

「うまれる時期だけは、だれも自分で選べないものだな」(P.78、城のなかの人)

秀頼を選んだ時点で、かなり斬新。しかも、彼は彼なりに頑張っているし

「そうはいかん。見えないところにいる者は、がまんしてもらう」(P.223、すずしい夏)

これなんか、最近のかの国の情勢をパクッたんじゃないかと思うような内容だったりする。それにしても個人的には最後の「はんぱもの維新」がオススメ。こんなのを書いたことがあって、知識がついているせいかもしれないけれど、実に面白い。
殿さまの日もそうだったけれど、星新一の歴史小説は現代の風刺になっている。

「どういうことなんだ。この国をどうするかの議論でもやればいいのに。形式だの手続きだのに熱中している」(P.248、はんぱもの維新)

最近の国会とか見てると誰でもこう思うだろうし

「ああいうはんぱものが地位についているから、いけねえんだ。いらいらさせられる」(P.231、はんぱもの維新)

こうも思うわけだ。まったくねぇ。

他人にまかせうる段階になれば、何も自分がやることはない。(P.250、はんぱもの維新)