ノックの音が

ノックの音がした。(P.7、なぞの女)

全部の作品がこれから始まる。実に秀逸なショートショート集。僕をフィクションの世界にいざなった一冊。
中学校3年のときに近所の本屋で返品忘れしたかのように、本棚に残っていた文庫本。買ってみて、内容に衝撃を受けたのは未だに覚えている。それ以来、星新一にどっぷりハマった。この一冊との出会いがなかったら、多分自分の頭のロジックは随分違ったものになっていただろうなと思う。
良し悪しは別として自分の骨格となった一つといえる一冊。何度読んでも、読みあきない。

ちなみに、うちの夫婦かいなっていう感じがする。これも、この一冊を手にとった影響かしら。

二人は愛しあっていたし、性格も一致していた。いや、一致しすぎていたともいえる。そこが問題だった。強情な点でも共通していたのだから。(P.67、和解の神)