悪魔のいる天国
地球以外にも女はいるだろうと、お手のものの装置を使って、ひとわたり宇宙へこんな電文をばらまいたのである。/「どなたか、交際してくださる女性のかたはいませんか」(P.125、愛の通信)
今のネット社会って、こんな雰囲気になりつつあるよな。ショートショートの設定もここまで現実味を帯びちゃうと、ちょっと考え込んでしまう。でも、ある意味SFってのはこういう風にして現実のほうが近づいてくるのだなぁと。
ちなみに読書のペースを落としました。そろそろ、在庫の数も切れてきたし、諸事多忙な感じになってきたので、1日1冊から、2日に1冊のペースにします。
さて、新潮文庫の星新一のショートショート集。どれも珠玉の作品。なんというか、落ちもさることながら、登場人物の思想というか考え方が面白い。この歳になるとそういう逆説的な世の中の見方がとても考えさせられる。
10年後に読み返したらどう思うんだろうな。
金というものは、自分の女につぎ込むのがいちばんいい使い方なのだろう。(P.162、かわいいポーリー)
「人間というものは、だれもかれも大差ないな。それなのに、なんでああ私生活を他人に知られるのをいやがるんだろう。わからんな」(P.198、薄暗い星で)