盗賊会社

世の中はいろいろ変ってゆくが、そのなかで最も変化しないのは酒じゃないだろうか。(P.195、長い人生)

その通りでございます。僕も好きなものは昔から人類の好物だったようで。
標題のショートショート他を収録している一冊。

あまりに平凡で退屈で、面白くない。転職を考えている。(P.52、盗賊会社)

盗賊という生業を法人化するなどというふざけた設定で、思考実験するだけで面白そうだけど、働く本人的にはつまらないという別の思考実験。この思考実験一個とってもその視点の面白さがたまらない。

現代は、趣味をもっていないと、なんとなく気がひける時代だ。(P.73、趣味決定業)

こんな職業とか。さらには、今の議会制民主主義のありようを皮肉って

「わたしが精神異常で、ほかの議員や公務員たちは、みな正気だとおっしゃるのですか」(P.152、なぞの青年)

というのは、皮肉ではあるけれど、税の運用を公平にすると真人間じゃない運用になるという.....。
それにしても思考実験を突き詰めてもこの辺は一緒か。

真実、抜群の能力を有する情報部員のエヌ氏なのだが、家に帰ればみるかげもないただの亭主だ。(P.189、帰宅の時間)

抜群の能力は無いけど、帰ればただの亭主だもんな。俺も。