情報楽市―激動のネット社会を予見する 次はこう動く!!

何の共通項もない地域に地域コミュニティをつくるのは、もともと無理なのです。(P.35)

そんなことはないと思います。そばに住むというだけで、十分物理的に生活中で共有するものがある以上、共通項はたくさんあるはずです。単に、それを消費という一点でしか捕らえない人が増えることで、無視されているに過ぎません。それが住みにくい地域社会を作っているだけです。

消費の共通性にだけつながっている、好みの消費でつながっているということが一番の特徴なのです。(P.39、好縁社会の特徴)

こういうつながりだけが全てというスタンスから僕らはむしろ脱却しなきゃいけないわけで。
確かに、収入の共通性だけでつながる、職場中心社会ってのは

いま職縁社会は明らかに崩壊の時期を迎えています。(P.32)

というとおりなんだろうけど。というか、そもそも

当時(戦前)はサラリーマンは「浮草稼業」という言葉が一般化していたほどです。(P.26)

というものに社会形成を当て込んだことがそもそもおかしいわけで。このほんでも、その辺は

消費や余暇活動に根ざした集団は、必ずしも共同体とはいえないことになります。商品縁、情報縁だけでは、共同体になりえないのです。(P.130)

と指摘しているので、好縁社会バンザイというわけの本ではなく、方向性としてこういう社会に向かっているけどどうしますかって言う提起の本だと思って読むと面白いと思います。
以下三点は今の僕の持論に近いので残す、ということで。

コンピュータやネットワークの情報処理能力は無限(に近い)かもしれませんが、人間の情報処理能力は相変わらず有限なのです。(P.73)

問題なのはこういった歴史的価値をどう生かしていくか、ということです。「歴史と文化の街」と、観光パンフレットに刷り込んでおけばよい、というものではないはずです。(P.142)

個人が独創的な才能を発揮してソフトを作るということ自体が、どうもまっとうな仕事だとは思われていないのではないかとすら思えます。(P.173)