花嫁人形

「どんな学者が経済を科学しようとも、どんな政治が国を治めてどんな政党が批難しようとも、人間がもっとうまい物を食べたい、もっと楽をしたいと思う気持ちがある限り経済はどんな形態をとろうともいつか軋んでくる」(P.99)

いつか軋むからといって、軋んだまま放置するって話にはならない。「軋むけど直す」を繰り返す。それが経済を担う企業人の正しい生き方だと思う。
「雪の断章」、「忘れな草」の続編。「忘れな草」ぐらいであれば、前作を読んだほうが面白いよというぐらいで済むけど、これにいたっては前二編を読んでないと意味不明。特に、「雪の断章」は読んでないと厳しいと思われます。なんといっても、雪の断章の反対側からのお話ばかり。登場人物も結構共有。
あんまり書くと読む楽しみがないので、解説は終了。
あとは色々メモを抜書き。

哀しみの形はたくさんあるけれど完全な無視状態に置かれるほど哀れなことはない。(P.8)
「人はみんな自分以外のことはついでの物。」(P.26)
「人間は多少の回り道をしてもその時その場で精いっぱい努力したら必ず報われる。この世に生まれてきて背負わされる荷の量はみんな公平だ」(P.71)
「金のありがたみと怖さを知っている者は下を向いてこつこつ働き、金は天下の回りものと信じる者は金をためることよりも使うことを考える。」(P.83)
「人は生い立ちじゃないわ、現在よ」(P.115)
あわてると転ぶんだぞ。目先のことでおろおろするな(P.162)
「信じたことを楯に相手をなじれば汚れます。さらに信じて失敗した人を物事のひき合いに出すのは軽蔑に値します」(P.171)
「人に頭を下げないで生きて行こうなどとは思い上がった男ですよ。本当に強い男の人こそ愛想笑いや頭を下げることを心得ているものです」(P.177)
「どんなときでもゆとりをもつ者が最後に勝つ」(P.199)
「無欲なほどやっかいな奴はいない」(P.201)
「物事の筋目を通した上で競うべきです。それが企業発展の骨格と信じます」(P.231)