進化した猿たち

このたぐいの本をなんと称するものなのか、私には見当もつかない。(1P.297、あとがき)

読んでるこっちにも見当もつかない。星新一の本。でもショートショートでもなく、エッセイでもなく、解説でもない。海外の漫画のクリップを分類整理してコメントを書いたり解説したり一言添えたりしている。ジャンルはどうあれ、読み物として普通に面白い。まぁ、それにしても、こんな内容でそこそこの厚さで全三冊。よくも書いたりである。

たまにまざってこそ、ピリリとして価値があるが、三百種あまりも集ると、薬味だけを食べさせられたような気分になる。だれかさんの短編集のようではないか。(1P.34)

そんな、薬味という気分ではないけど、まぁ、一気に読むとお腹いっぱいになります。抜書きにコメントし返せばこの本のように長くなるんだけど、残念ながら面白い文章は無理。一個だけ。

紛失事故である。郵便局に申し出ると「この用紙に書き込んで出せ」という。(中略)回答がきた。だが、それは印刷されたハガキであり、文面は<調べましたが原因不明でした>というもの。(2P.58)

同じような体験したけど、こんな昔からこうなっているのかと感心しました。それだけで、後の抜書きは放置。

アイデア捻出の原則は一つしかない。異質なものどうしを結びつけよ、である。(1P.10)
「改良開発は永遠無窮なるを知り、たえずそれにむかって企図を怠るなかれ」(1P.38)
「機械がいくら人間に迫ろうと、それは脅威ではない。人間が機械のようになる傾向のほうが恐ろしい」(1P.54)
欧米では多くの国で採用されている陪審制度が、わが国ではなぜ実施できないのか。(1P.88)
不健康とは生きていることの実証なのであろう。(1P.176)
人間は、わけがわからなくてもいいから(中略)しゃにむに有限の枠をはめないと安心しないもののようだ。(1P.198)
当時は、おとなの世界は不可解なものらしいと思ったものだ。事実、おとなになってみると、たしかにその通りだった。(1P.264)

人間たる条件というのは、ある種のものにわけもわからず熱狂する、あるいは熱狂しかねない点にあるようだ。(2P.94)
もし、この世から悪が消えたらどうなるか。まず子供むけのテレビの主人公、正義の味方なるものはたちまち失業である。(2P.242)

完全に自由な選択の許される状態に直面したら、人間はなんにもできない。(3P.66)
人間が物品あつかいされているようであり、人間のほうが企業をただの物品あつかいしているようでもある。(3P.76)
それまで活躍していたペニシリン生産用のほかの青カビたちは、みんなお払い箱。退職金もなく、ごくろうさまとも言われず、あわれなものである。(3P.154)
それにしても、祝杯をあげるためにまず畑から作りはじめるとは、気の長い性格である。(3P.164)