雪の断章

「人の運なんてこんなものなんだよ。些細なことが受け取る側に邪推があれば、どんどん毒となって体に回ってしまう。」(P.373)

高校生のときに、たまたま、旭川に出たときに本屋でみた表紙が気になって気になってしょうがなくて買った一冊。その頃ののらの読書は、学術書とノンフィクション以外は星新一のショートショートと赤川次郎の推理小説しか読まないおこちゃまでした。その頃の自分にとって結構インパクトのある一冊でした。
その当時の自分自身も、ある種ねじくれた心を持っていたので、とても共感したし、またある意味その数年間を乗り切る心の指針になったようにも思います。ちなみに、映画にもなったようですけど、一度も見たことはありません。
で、今回良い年をした大人になって読み返してみると、話の筋立て自体はさておき、人の生きる指針として同あるべきかを色々な宗教書から織り交ぜて上手に書いているので、それなりに学び考えさせられる一冊ではあります。
とりあえず、分類整理するような内容でもないので、メモはそのまま書き散らかしで残しておきます。

不幸はナイフのようなものだという。刃をもてば手が切れるけど逆手に持てば利用できる、と。(P.11)
何だかありがとうと言えなかった。言えばたちまち魔法がとけてしまいそうだったから。(P.36)
「翌朝になってケロッとして起き上がったのを見たら可愛いものだなとおもった。俺が治したような気持ちになってうれしかったなあ。」(P.61)
「おまえチビが小学生の頃から同じ誉め方だが、違う言葉を知らないのか?」(P.93)
ただ一つの方法は笑って挑戦を受けることだ。(P.124)
「ただ逆境にいるからといって人から親切や愛をもらえると思ったら大間違いだ」(P.149)
「辛かったことは人にふれて歩くものでもないし、言ってみても取りかえせることではない。何かを主張する時にさり気なく織り混ぜるのなら自然だし相手も耳を傾けるだろうが、むき出したままをぶつけても肩すかしを食うものだ」(P.194)
「その気持ちを形にして提示してくれなければ誤解のまま埋もれてしまうわ」(P.260)
「化粧も衣裳も人の中に混って平凡に見えるのが一番いいのだ。それが本当の流行なのだ」(P.266)
「狂人や先天的な悪人でない限り、それ相当の理由をもっていると思うの。そこまで心理的に追い詰める者にも明文化があっていいはずだわ」(P.303)
仕事というものはたくさんの人と触れて、色々な組織に入って色々な土地へ行って身につけるものだよ(P.314)
人間一匹真剣に生きてみろ、犬でなくてもかみつきたいことがある。(P.408)