ようこそ地球さん

天国はずっと独占事業だったので、天使たちはしだいに役人臭をおびてきた。(P.65、天使考)

新潮文庫の星新一の作品集。うちにも結構な冊数あります。
ショートショートの落ちもさることながら、そのはじめの設定付けもなかなか面白かったりします。この、天使考なんかも、その設定自体が面白いものです。で、更に落ちまでつけちゃうんだから、やっぱり稀代の作家なんでしょうね。何度読んでも古くならない、不思議な作品たちです。

私は大衆というものが、税金を払うためにのみ存在していることを、はじめて知った。(P.52、証人)
「とくに宣伝のひどいこと。よそを押しのけて、自分の社のマークと商品名を人々の頭にたたきこめばいい、という勢いなのですから。人間性の無視ですよ」(P.144、思索販売業)
「言いたいように言わせておくのよ。威張らせておけば、いい気になって働くから。だけど、あの放浪性だけはなかなか抜けないわね」(P.243、最高の作戦)