冬きたりなば
「しかし、問題は値段じゃない。おれはそれを買った」(P.30、景品)
おお、そうさ。そういう気分の毎日を送っているよ。
ショートショートでそんなに憤慨してもしょうがないだろうけど。星新一のショートショート集。たまたま家にあったのを何となく読む。
「きみは良妻だし、拾った財布を夢にしてしまった落語の芝浜とかいう話にヒントを得て、おれのためを思ってしたことだろうがね」(P.72、タバコ)
昔の作品だからなのか、落語の芝濱が出てきますけど、知らない人は意味わかんないよね。手近なところでは古典落語 正蔵・三木助集に出てきます。星新一の作品って誰でも読めるけど、ちゃんと味わうには初期の作品は結構教養を要求するよなぁと思ったりします。
いくら優秀な社員でも、また、いくらわたしが寛大でも、別荘気分で楽しく出社してこられては、がまんができない。(P.153、奇妙な社員)
あと、いまはこういう生き方の人が結構許容されます。まさにいまの俺がそうだもんな。星さんの落ちの上を行く人間がいるってところが、やっぱり小説より奇なるものってのはあるんだな。