問はず語り
ひま行く駒のはやせ川、こえてかへらぬとしなみの、わが身につもるをかぞふれば、今年は十八になり侍るにこそ。(P.83)
18で、「わが身につもるをかぞふれば」ですか。なんとまぁ、人生達観しちゃうんですな。今の18では思いもよらぬことで。
ある意味、日記と言うのは後世公開されることを前提で書くもの、とかいうけど、本当にそんな感じ。鎌倉公家の暴露本です。こんなの書いちゃっていいんでしょうか。現代語訳して、人物相関図とかつけたら案外売れるんじゃないんでしょうか。
どうでもいいことですが
我はなほくもでに物を思へどもその八橋はあとだにもなし(P.194、「八橋といふ所にもつきたれども、水行く川もなし。橋も見えぬさへ、とももなき心ちして」ということで読んだ句)
更級日記に続き、ここでも知立が槍玉に。女性には受けの悪い土地のようで。
それはさておき、
かくて世にありときかるる身のうさを恨みてのみぞ年はへにける(P.185)
も少し楽しく生きれれば良かったのにね。男女同権とは行かない社会だったろうけど。