方丈記

長明は結局悟り切れず、安心立命の境界に至り得ない男であって、西行とはかなりの隔たりがあるように思われてならない。(P.136、解説)

そうですか。僕は至ってない長明のほうがいいかな。大体、そんな悟れてたまるか。

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。(P.9)

さてはて、有名なこの文句で始まる一冊ですが、無常観を感じ取ろうという悟りきれない男の日記文学です。
なんというか、読んでみて、こんなんじゃぁ平家も統治が大変だったろうなぁと思うほど天変地異の記述がたくさん。でも、きっと人間はちゃんと生きてたんだろうな。無理やりこれで無常をかんじる人もいれば、そうでない人もいたんだろうな。

事を知り世を知れれば、願はず、わしらず。たゞしづかなるを望とし、うれへ無きを楽しみとす。(P.35)

と、少し世捨て人の気持ちもわかるようになってきてしまいました。困ったもんです。

若しなすべき事あれば、すなはちおのが身をつかふ。たゆからずしもあらねど、人を従え、ひとをかへりみるよりやすし。(P.36)