機関車先生

「けど、殴られても何もせなんだ。機関車先生は怖かったんじゃ」/「怖けりゃ逃げとるがの」(P.162)

出張の移動中に、何の期待もせずに読んだのですが、不覚にも涙腺が緩みました。
口のきけない先生が、田舎の学校に赴任してくるところからストーリが始まります。で、その先生は口がきけないので、基本的に周囲の人物の会話と先生の行為で話が進んでいくのですが、特に、先生の赴任を強く押した校長、下宿先の婆さんなどの大人がいい味出しています。主人公の機関車先生も素敵なんだけれども、こんな周囲の大人ばかりであれば、今の子供をとりまく社会問題なんて起きないだろうなぁとも。
機関車先生、ぜひうちの子の小学校にも来て欲しいですね。実在するならですけど。

「そうでしょうか、本当にそんな人に......教育ができるのでしょうか......」(P.16)
「これからの日本をつくるのは教育だよ。子供たちが新しい日本をつくるんだよ」(P.63)
「何も語らないで、何の代償も求めないで、素晴らしいことをできる友だちが自分にはいたんだと......」(P.168)
「人が人を憎いとか、悪い奴じゃと決めたところから戦争がはじまるんじゃ」(P.179)