詩のこころを読む

社会生活をするには、さまざまな約束を守ったほうが人に迷惑をかけず、すべてなめらかにゆくわけですが、ただそれだけのことにすぎません。(P.81)

岩波ジュニア文庫です。ジュニア向けなんですけど、大人が読んでも十分学習になる内容です。
個人的に、詩という情緒的表現手法は嫌いではあります。

かつての非道の幾多の資料、統計、論文を読むよりも、この一篇の詩は、はるかにぐさりと突きささ(P.128)ることによって、人の思考を奪ってしまう側面があるから。でも、そうやってぐさりと行くために詩は評論とちがって、首尾一貫、論理をつみかさねてゆくものではないし、一番表現したいことを鮮烈に残すために、他はばっさり大きく切りすててしまいます。(P.210)という手法もあるということを分かっていないと、ただ扇動されてしまうのも事実。
そういう意味では、ドリブンとして詩を活用するのは大事。でも、大人が読むのなら、その本質をこういう本を通じてわきまえるべきだろう。

生命は/その中に欠如を抱き/それを他者から満たしてもらうのだ(P.175)