量子力学の考え方―相対性理論よりおもしろい
労力を惜しまないで本質を検討することのできる人を相手に、量子論を展開しました。(P.6、まえがき)
と、前書きに書いているだけあって、この薄っぺらさでブルーバックスなのに、わりかしちゃんとした量子力学の哲学の議論ができている本です。多分、元の本はちゃんとしているのでしょうけど、若干翻訳には気になることが結構あります。まぁ、訳語なんってどっちでも元の単語に対して、きちんと対応して意味が分かればいいんでしょうけど、こういった議論のほかの書籍の主流と対応していなかったり、書籍内で混乱しているといただけないので、2箇所だけは気をつけて読めば大丈夫かと。
現実→実在
波束の発散→波束の収縮
内容がいい本なので、この辺ちょっともったいないかなと。
量子力学の立場は抜け目のない胴元のようなもので、シーズン中を通じてある馬の勝算が計算できるのです。(P.24)
数学は素晴らしいものではありますが、物理学者は、いつも自問せざるをえないのです。現実の世界の有様を記述するのに、本当にふさわしい数学的手法を自分は用いているのだろうか、と。(P.126)