ゲーデルの哲学―不完全性定理と神の存在論
ゲーデルが不完全性定理から導いた哲学的帰結は、反機械論または数学的実在論、または、その両方が正しくなければならないという選言命題である。(P.169)
意外とこのサイズで、ゲーデルの有名な不完全性定理を、それなりにちゃんと解説した本は少ないのではないかと思う。そういう意味では、読む価値はあるなと。後、ゲーデルの人となりとか、交友とか知ることもできて、薄くても結構お徳。
と、ここまでは褒めるんだけど、正直、著者の意図が成功したかというと、微妙な新書ではないかと思う。新書でコンパクトにまとまっていたり、証明に関しての流れとか、色々分かる様に工夫している感はあるんだけど、同時に、良くある、似非科学系の論理パラドックス本と同等のものと同じ感覚で読まれてしまうと、かなり問題があるなと。部分引用がメモ書きといえどもしたくないなと思える。
我こそは、分析哲学とか数学基礎論とか素養ありだから大丈夫、若しくはそういう解説してくれる友達がいるから大丈夫、というか体外はあんまり読まないほうが、いいかもしれない。上下の引用を見て、ほほーと思える程度の知識は基礎知識でしょう。
ゲーデルの(宇宙論での)業績で最も意義深いのは、アインシュタイン自身が当初受け入れていた「マッハの原理」を否定した点にあるように思われる。(P.152)