自由と国家―いま「憲法」のもつ意味
「権利の担い手としての個人なしに保護者たる国家はなく、保護者たる国家なしにはこれらの権利を実現する個人は存在しない」(P.161)
三つの89年(1689年、1789年、1889年。それぞれ何の日かは憲法やら人権やらに関心があれば調べて下さい)の意味づけを軸に、国家と個人と法を論じた一冊。内容的には、表紙にたがわぬ赤色なんだけど、学ぶところがないわけではない。
近代憲法思想は、ホッブズ以来、「人が人を支配する」というありていの事実に関連して、「公権力をつくる」「他人に権力をあずける(信託)」「権力を法でしばる」等々について、苦心さんたんしながら、さまざまな建前をつくりあげてきた。(P.47)
まぁ、どういう視点に立つかは別として、個人が幸せになれる建前はどんな建前かをもがき続けた300年ということなんだろうなと。読む価値のある一冊ではあります。