一握の砂・悲しき玩具

こころよく/我にはたらく仕事あれ/それをし遂げて死なむと思ふ(P.19)

日本最大のぐーたら詩人の名詩集。史実を知ると言うことはないぐらい、働けよ、と言いたい。もうこのぐうたらっぷりは、何とかならないのでしょうかと思うぐらい。

わが妻に着物縫はせし友ありし/冬早く来る/植民地かな(P.103)

こんな奴に植民地呼ばわりされたくありません。本当に植民地だった過去の北海道でも満足に稼げんようなやつに言われたくありません。

石狩の美国といへる停車場の/柵に乾してありし/赤き布片かな(P.100)
石狩の空知郡の/牧場のお嫁さんより送り来し/バタかな(P170)

義理のお兄さんが、石狩エリアの鉄道区の中心駅の岩見沢の駅長で、しょっちゅう無心しに来ていたことが分かるほど、勤務地の歌もさることながら空知の歌の多いこと。でも、詩人としてはやっぱり天才です。日本を代表する詩人であることに間違いはありません。

不来方のお城の草に寝ころびて/空に吸はれし/十五の心(P.54)

この詩など、初めて読んだときも感動したけど、今読んでもすぅっとする不思議な詩です。でも、自分の中ではこういう感覚だったんでしょうね。自分自身がモノ感覚というか、生命感がないというか。それはそれで大変だよなと。

いのちなき砂の悲しさよ/さらさらと/握れば指のあひだより落つ(P.16)