アイヌ神謡集

唯この宝玉をば神様が惜しんでたった一粒しか我々に恵まれなかった。(P.161、金田一京助の解説)

こんな秀逸な翻訳があれば、相互の文化理解は進むだろうに。この本で僕自身最も感嘆するのは、翻訳された日本語の綺麗さだ。翻訳詩の数々が、学者の手の趣のないものばかりであるが、この翻訳の日本語のこなれ具合はどうだろう。驚くべき翻訳本だ。本当に、アイヌ文化を理解しようとしない我々たちに対して神々が、ネコに小判と惜しんで、この一粒しかくれなかったんだろうなと。
なんと悲しいことか。
でも、あえて〆の引用は、アイヌ語のローマ字音書きで。

Shirokanipe ranran pishkan, konkanipe ranran pishkan (P.10「銀の滴降る降るまわりに」)