リルケ詩集

彼等は貧しい人々ではない ただ富んでいないのにすぎない(P.32)
誰に向かってお前は嘆こうとするのか(P.141)

そりゃ君だ。リルケ君。あんたは誰に向かって嘆くのか、というか、嘆くと言う行為には対象っているのかなどという、自動詞だっけ他動詞だっけなどという、どうでもいいことが思いついてしまった。たぶん、これは若いうちに読むべき詩集なんだろうなと思う。この歳になってしまうと、誰もいないところで声に出して読んでもこっぱずかしい。

理由もなく世界のなかで泣いている者は/私を泣いているのだ(P.54)

こんな自己中心的な視界はなかなかこの歳になると持てませんです。でも、つぶさに読んでいると全体の文脈から切り離して感心してしまうものもなくはない。

労苦にくもり 生活に倦んだひとびとは/まるで気づきもしないのだ どんなに幼な児が堪えているか(P.107)

とか。でも、この歳になるとよくあるのは、こういうこと。最近は仕事のし過ぎと子守のし過ぎで頭回らんです。はい。

ああ どうして私はいつまでも不器用に/このような言葉の意味が捉えられないのだろう(P.154)