お気に召すまま
おお、哀れなオーランドー、お前こそ薙ぎ倒されてしまったではないか!敵はチャールズか、いや、もっとかよわい者に征服されてしまったのだ。(P.30)
結構お気楽な恋愛喜劇。なんというか、世紀の名作を捕まえてこんな風に言い切っていいのか判らないけど、正直な気持ち。
登場人物が簡単。険悪兄弟に仲良し従姉妹、で、兄弟の親と従姉妹の親とそれぞれ因縁がついていて、おんだされた末弟に従姉妹の一人が両思い。んで、イタズラ心で男装して、少し話がこじれていくという、案外と、小学校高学年ぐらいの今日日の女子なら、さくっと読んでしまうのではないかという話のつくり。脇役もわかりやすい忠義者に、わかりやすいそこいらの市民。
とはいえ、話が著しく薄っぺらという意味ではなくて、結構名作に数え上げられるだけあって、読みがいはあります。
でも、シェークスピアって、重いものから軽いものまで上手に仕上げる戯曲を作る名シェフですな。新潮文庫の家にあるやつはこれでようやく読了。結構疲れた。
自分の食べるものは自分で稼ぐ、自分の着る者は自分で作る、人の恨みも買わなければ、人の仕合せを妬みもせず、人の喜びは自分も喜び、吾が身の不運は甘んじて受ける(P.68)