情の管理・知の管理―組織を率いる二大原則

人間は誰かさんのために生きている(P.46)

なんというか、一匹狼というか、一匹のらで生きているやつがこんな管理に関する本を読んでどうのこうの論評するのはチャンチャラおかしい話ではある。しかもこの本を買ったのは、一回目のサラリーマンのときで、基本的にはヒラだったわけだし、徹底的にこういう手法は無用なわけだ。
とはいえ、この一言はまさにその通りで、人を管理しようが、人に管理されようが、一匹狼だろうが、のらだろうが必要不可欠なわけだ。

なので、将来的に人の上に立つことがあるとすれば、そこそこ役に立つのではないかと思えるわけだ。加えて思うのは、子育てをすると、自然と身につくものでもあるなとも思う。

知っていて手を出さず、気長に育てていくことが大切なのだ。(P.103)

というのは、子育ての基本中の基本だし、子供ってのはがんがん悪さをするので

その人の度量の内で、可能な限り許していけば、その度量は大きくなっていく。(P.75)

ということは親としてはよくある。

「誰かさんのために生きる」ということと、「部下に限りない愛情を持つ」ということのふたつを実行しているからである。(P.158)

部下を自分の子どもとすれば、これは親としては当然の実行事項だろう。そして、言葉を覚えれば、親の耳に痛いこともいう。

諫言とは、部下が伸びている、うれしい証左である(P.126)

という状態である。子供の諫言を嬉しと思うことも大事なのだ。
こういうことを踏まえても、ビジネスマンとして一見遠回りでも、子育てをしておくというのは実は優れた修養方法なのだと思う。
その上で、新たに社会に取り組めればもっということはない。多くの組織の人材がおかしくなっている中で、再建すべきは人材だ(P.103)といわれている。子育てとある面で一緒な知の管理と情の管理を実践して組織の人材を再建すれば良いのだ。
ただそこで、変に勇んではいけない。

子育てと異なり人の上に立った者が、一番にしなくてはならないことは、「自分を棄てる」こと(P.161)である。さぁやるぞ。などと気負ってはいけないのだろう。当然だが、気負わずにそういうことの出来る魅力的な人間になっているべきなのだ。とはいえ、だ。

人間の魅力は、本人が気づいていないから魅力なのだ。(P.206)