インターネット時代の著作権とプライバシー―情報モラルの確立にむけて

やっていることは泥棒と同じです。また、犯罪の土壌をつくっている点では麻薬の密売と同じです。(P.103)

まぁ、ここまで書くことはないかと思いますが、比較的誰でも理解しやすい著作権に関する解説書です。
著者自身の法律観が、道徳をカタチにしたのが法律であって、法律をカタチにしたのが道徳ではないというものであるようで、個人的には好意の持てる感じの紙切れ屋の解説書であります。
とはいえ、コピー問題に対しては

犯人は普通の人、しかし犯行はきわめて悪質、それでいて罪の意識は希薄。(P.32)

と、法律の論理を前面に押し出します。でも、これって戦争中の前線で戦う兵士という名の一般市民の状態のような気もする。言い換えると著作権に関してはそういう異常事態なのかもしれない。
とはいえ、結局、こういう状況が日本で起こるのかといえば

なぜ、日本の場合、年齢とともに著作権意識が低下するのでしょう。/答えは簡単です。学年が上がるにつれて、創作活動から遠ざかっていくからです。(P.133)

のように、教育の現場で創作活動が少ないということを上げられています。ぼくもこれは首肯します。変な紙切れ知識の詰め込み以上に、実際に自分で創作をする時間を増やせば、著作権問題も解決して創造性も向上するという一石二鳥の話です。情報セキュリティも著作権も、どんなカタチであれ結局のところ「情報の価値」に対する意識が高いかどうか、です。(P.48)