血涙―新楊家将

「われらは、栄達を求めて、楊家軍を再興するわけではありません。楊家の誇りをかけて、立ちあがるのです。宋で最強の軍、とすべての人々に認めさせたいのです」(上P.98)

楊家将の続編。というか、多分、先の上下巻と、この上下巻を合わせて4冊で「楊家将」というお話なのだと思う。本編は、さきの遼対宋の戦いで、生き残った息子たちのお話。騎馬隊を率い生き残った六郎、七郎コンビが宋側の主人公。こいつらは、宋という国を信じられないものの、最強の軍という誇りをかけて、楊家軍を再興させる。
他方、死んだと思われた四郎は記憶を失いながらも、宿敵の遼で妻子を得、また指揮の指導者を向かえ幸せに暮らす。個人的に、前の巻から斜に構えた四郎君はとっても共感があったりするんだけど、またここでも今の自分に照らして共感。

家族といれば、豊かな気持ちになれる。つまり自分は、満ち足りているのではないか。生まれ変わってからの人生は、望みようもないほど満たされているのではないか。(上P.199)

で、この四郎と六郎七郎の対決は最後の最後の戦いで行われる。が、宋に対する不信は消えないものの、六郎七郎ともに層に対する印象が少し代わってきている。

「ここで遼軍を止められなければ、宋という国は消えるしかないでしょう。消えるには惜しい国だと俺は思いますが」(下P.308)

最後の最後どうなるのかは読んだ人のお楽しみなので、今回はメモ書き程度で。

「無念の撤退を強いられることは、軍人にはしばしばあります。それはむしろ、誇りとすべきことではないでしょうか」(下P.322)