ドキュメント 榎本武揚―明治の「読売」記事で検証
己れは十年以来飯を食わず酒で生ているが、酒は全く米のソップ(スープ)だ(P.96)
いや、素晴らしい。大臣歴任した大物がマスコミ相手にこんな発言しちゃっていいのかい。いいんだろうな。今と昔の違いがよくわかる。というか、変にマスコミの影響力がなくて、多少の失言でも大した影響はなかったんだろうな。ある面で、選挙民もそうやって瓦版と付き合っていたんだろうなと思う。ある意味、明治のころの方がメディアリテラシーは高かったのかしらとか思う。
しかし、まぁ、資料を見れば見るほど、榎本さんは味のあるお方です。
被害地に赴きたるに、極めて素服微行したることとて何人も農相たるに気付くものなかりし。(P.71、農商大臣時代に足尾銅山視察のときの新聞記事)
本当にこんなお忍び視察やるかい。今ならSPとかいろんな雰囲気ですぐばれちゃうでしょうが。あんたは、暴れん坊将軍ですか。でも、結局ばれちゃうって話だけど、人情大臣炸裂って感じですね。
そんな公人としても面白みがあれば、私人としてはもっと炸裂。酒飲みとして見習うべき人物ですわ。飲み屋に残した一句。
朧夜や誰れを主と言問わむ鍋焼うどんおでん燗酒(P.96)