バツイチの子供たち―娘から親へ

両親へひとこと言わせてもらう。自分のことばっかり考えるな!(P.185)

雑誌とラジオの連動企画を基にして生まれた本。仕事の上で、児童福祉の現状を理解したくて下調べで買ったような気がする。改めて読んで、これは結婚する前に、どんなカップルでも一度読むべきだ、との意を強くした。
まえがきに

ラジオの深夜放送やティーン誌に寄せられるそれらの投書に、十代から親の世代へのメッセージはありえません。同世代の人だけに共有してほしい心情であり、匿名だからこそ告白できる本音なのだと思います。(P.4:太字はのらによる)

と、書いてあるように、10代のころの子供の目線の投稿であるがまさしく本音だろうし、多分、自分が10代にこういうことに会えばこういう考え方でこういう風に考えたんだろうなと思う。多分、大人になって忘れているのはこの始点なのだと思う。まさに冒頭の通り、自分はそう思ったであろうということを忘れて、そのときの自分の都合で身勝手な意思決定をしているのだ。
これはなにも、離婚に限ったことではない。子育てを取り巻く日々で普通に痛感する。他者批判だけではなく自分でもそうなのだ。しっかり反省させられる。

お父さんとお母さんは、それぞれ"1"づつ愛を持っているの。子供ってのは"2"って愛をほしがるの。でも、両方から別々に"1"の愛をもらっても、それを自分で"2"にはできない。だから、お父さんとお母さんは"1"と"1"をたして"2"にしてあげなくちゃいけない。(P.79)

こんなの、そう思って結婚して、子供を授かって生きているのに、簡単に忘れてしまう。2にする作業、ちゃんとやらないと。で、反抗期ぐらいには、ふつうに

「大人のことに私を巻き込むな!」(P.139)

こんな風に考えていたはずだ。にもかかわらず、子供をいつも巻き込んで苦しめていることが少なくない。反省。で、これで反省しないと

親は、一緒にいても、いないものと考え、生きていこう(P.167)

と思われてしまい、存在価値のない親になってしまうんだろうな。それはあまりに人間としてさびしい。
この本は、まさに、離婚問題や児童福祉問題に関心がなくても、大人にこそ一読してもらいたい本だ。