北海道昔ばなし (道央編)
「それ!ワラ屋はあっちにもあるぞ!」
と。つぎつぎ命令しましたので、役人達は旗を押し立てて、どんどん火を放っていきました。(P.50:御用火事)
いわゆる日本昔話のようにファンタジー的な口伝集ではなくて、比較的現代の史実の話を言い伝えたものが中心の本。これは道央編なので、札幌を中心としてエリアの開拓前後のころのお話。
冒頭に引用したのは、僕が北海道の悪い面を語るときに常に事例としてお話しする「御用火事」の一幕。史実を淡々と伝えるより、こういう口伝でお話しすると情景も伝わり、より次代への警告として役立つものになる。
こういうネガティブなものばかりではなくて、北海道名物のジンギスカンの起源や、はたまた、ちょっとした幽霊話、アイヌと倭人の係わり合いから生まれたであろう、ファンタジーなど、31の昔語り集である。
北海道の子どもたちにはぜひ読んでおいてもらいたい本である。