サムライに恋した英国娘--男爵いも、川田龍吉への恋文

北海道の発展に尽くした偉人の2組に恋愛が、英国のグラスゴーと言う地で繰り広げられていたのはしらなかった。

そのうちの一組は、ニッカ創業者の竹鶴正孝とリタ。このことは、この書棚の一冊目である「ヒゲのウイスキー誕生す」で、書かれているように、美しく実った恋である。
で、もうひと組は、そこからさかのぼること40年。本書で紹介されている、のちに男爵イモを北海道植えた男爵になる川田龍吉が三菱の社費留学生として、グラスゴーに渡り繰り広げられた恋物語だ。

本書は、1977年に発見された、グラスゴー留学時代に川田に届いた100通の恋文をもとにしたその恋のゆくへと、二人のその後を書いたものだ。
造船と農業と言う二つの側面で日本の近代化に貢献した、川田龍吉という人間を知る上で、非常に優れた本と言えるだろう。
何よりも、未来を築くことに取りつかれた男、という点で、彼もまた明治のサムライだった。(P.272)
恋の成就はどうあれ、こうした気概は今の時代でも必要だ。せっかく、思う相手と安定した家庭を得ているので、自分もまたこうした気概を持って仕事をしないといかんなぁと思える。