パーミションマーケティング―ブランドからパーミションへ

生活者として充分に満たされている私たちは、これ以上新製品を求めてはいないのだ(P.23)

今はある面でそういう時代だ。本書も例に漏れずこういう時代の物売りのための指針書を目指している。本書の基本にある認識

「信用」はどこから来るのか。(中略)そして、信用がなければ、売り上げもゼロだということは、マーケティング担当者なら誰でも知っている。(P.83)

これは正しい。で、パーミッション(許可、許諾)というものを基本概念に話を進める。パーミッションの蓄積が、信用につながるというわけだ。で、本書は、そのパーミッションの得方を恋愛になぞらえる。
しかし、だ。このなぞらえ方をするとすると、この女の子をくどく男はあまりに不誠実だ。なぜなら、男(企業)の彼女(生活者)に対する認識は

生活者は気まぐれだ(P.158)。そして、生活者は利己的だ(中略、それゆえに)正しいえさ(客寄せ)選びは必須だ(P.240)

ということがベースになっている。信用というのは相互理解による相互信用であるべきだ。これでは、結婚詐欺師や、やるだけが目的の軟派師が、信用を得るために彼女が目先で気に入るプレゼントをあげまくって、最後に膨大な利を持ってトンずらしたり、一発やってポイしようって発想とあんまり変わらない。
これは大いなる過ちだ。生活者は基本的にある程度首尾一貫した行動様式を持っているし、必ずしも利己的ではない。
生活者が企業から見て利己的に感じるのは、企業が今まで生活者に対して利己的に振舞った報いでしかない。そして、どんな手段でサービスしようが、多くの生活者はそんな心のうちはすかしてみている。

バブル時代のデートのハウツー本程度の価値。僕には、いらない。ということで、BOOKOFF送り。