開戦―大本営陸軍部・道産子幕僚たちの苦悩

日本という国の運営の論理とアメリカという国の外交をとてもよく理解できる。これが60年ほど昔の話。でも、60年たってもある意味日本は変わっていない。そしてアメリカも。

日本という国は上位決定が下位決定を律することがなく、下位決定が上位決定と関連がつかない。そうしてなし崩しに開戦していく。そんな状況で、統一的国家の意思決定とはいえない不思議な国であることが明確に浮かび上がってくる。実は今も企業経営も国家経営もそういう不思議な国なのだ。
で、アメリカという国の外交術は、勝てる相手を的確に暴発させる方向に追い詰めていくところに要点がある。相手に手を出させたら最後、すばやく一撃目の攻撃分を取り返し、完膚なきまでやっつける。いわば、「僕悪くないもんね」という言い訳を上手に作る頭脳犯的なジャイアン。
不思議な国と頭脳犯的ジャイアンの喧嘩。国際情勢を含めて、上手にその推移を、道産子幕僚4人の視点から纏め上げている。

今の日本のあり方を理解し考察する上で、一読しても損はない。と、改めて読んでも思える一冊だった。